GNVニュース 2025年2月21日
2024年、インドでは感染症が記録的な急増を見せている。特に急性下痢性疾患は、2024年12月22日時点で1,000件以上のアウトブレイクの発生が報告され、2009年以降最多となった。食中毒も300件のアウトブレイクを超え、2019年以来最多である。アーンドラ・プラデーシュ州では、胃腸疾患の発生が顕著であり、過去1年間に急性下痢疾患、食中毒、コレラが急増し、毎週20-30件の症例が報告されている。西部都市プネーでは、感染症の合併症としてギラン・バレー症候群(GBS)が多発しており、1月以降180件以上の確定例と28件の疑い例が確認されている。この急増の背景には、汚染された水や食料源、抗生物質の過剰使用による耐性菌の出現などが指摘されているが、急速な増加には謎も残る。
世界的にも、新型コロナウイルス感染拡大後に感染症の再流行が見られる。インフルエンザ、麻疹、結核、百日咳などの一般的な伝染病が急増しており、2022年初頭以降、44カ国で少なくとも1つの感染症の発生率がパンデミック前の10倍以上に達している。この背景には、コロナのパンデミック中のサプライチェーンの混乱やロックダウン中の予防接種機会の減少、反ワクチン運動によるワクチン接種率の低下がある。2021年には、ジフテリア、破傷風、百日咳ワクチンの3回接種率が過去13年間で最低水準となった。また、パンデミック中の日常的な病原体への暴露減少による免疫力低下も要因の一つと考えられている。専門家は、この状況を「現代の科学時代における新たな領域」と表現している。気候変動もまた、コレラやデング熱などの病気の蔓延を助長させている可能性があり、アルゼンチンではデング熱の症例が2024年には2019年と比べて152倍に増加している。
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インドの病院で待つ結核患者(写真:ILO Asia-Pacific / Flickr[CC BY-NC-ND 2.0])
今年はインドで「マハ・クンブ・メラ」というお祭りがあるので、それが感染症の拡大に寄与する可能性もありますね。