イエメン:悪化するコレラ危機

by | 2024年12月27日 | GNVニュース, 中東・北アフリカ, 保健・医療, 紛争・軍事

GNVニュース 2024年12月27日

2024年12月23日、国連世界保健機関(WHO)は以前からコレラ症例・関連死数が世界最大であったイエメンにおいて、2024年再び前年よりも状況が悪化したことを報告した。11月には2023年の同月と比較してコレラ症例・関連死数はそれぞれ37%と27%増加しており、12月1日時点で2024年の世界のコレラ症例の35%と関連死の18%を占めている。イエメンでは長年コレラの感染が続いており、2017年から2020年には近年で世界最大のコレラ流行が発生した。

その背景には10年以上続く武力紛争ががある。その間数年に渡り国境がサウジアラビアに事実上封鎖され、人道支援物資の搬入が困難になったり、また空爆により、水道・下水・医療インフラも機能不全に陥っており、経済も崩壊している。安全な飲料水の欠如やトイレの不足など劣悪な衛生状態に加え、迅速な治療へのアクセスが制限されていることなどがコレラの蔓延を助長している。

感染症の早期発見や経口コレラワクチンの接種、衛生教育の実施、衛生インフラの修復など緊急かつ包括的な介入がコレラ対策に求められているが、紛争が終結していない問題に加え、資金不足が深刻な問題となっている。2024年3月から11月の間には47の下痢治療センター(DTC)と234の傾向保水センター(ORC)が閉鎖を余儀なくされた。さらに17のDTCと39のORCが12月末までに閉鎖される予定である。イエメン各地の行政機関、WHO、他の国連機関、民間の支援団体によって対策がなされているが、2024年10月から2025年3月の間には2,000万米ドルの資金不足が予測されており、財政支援がなければ再び2017~2020年の大流行に相当する危機に直面する可能性があると警告されている。

イエメンの紛争についてもっと知る→「イエメン紛争:新たな段階

コレラの入院患者、イエメン(2019年)(写真:anasalhajj / Shutterstock.com)

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