死刑のない世界に一歩前進か

by | 2024年12月22日 | GNVニュース, 世界, 法・人権

GNVニュース 2024年12月22日

2024年12月17日、国連総会で死刑執行猶予を求める決議が賛成多数で通過した。130票の賛成、32票の棄権、22票が反対へと投じられたこの決議は、2022年よりも賛成が5票増え、世界的に死刑制度廃止に向けた国際的な議論の高まりであるという見方もされている。今回の決議は、死刑制度そのものの撤廃を求めるものではなく、現行の死刑制度下において刑の執行に猶予を求めるものである。決議文には、「政治的、経済的、文化的制度の如何に関わらず、国家はすべての基本的人権と自由を保護する」と記され、死刑制度が人権に与える影響に懸念を示した。

近年、死刑制度を導入する国は減少傾向にあるが、いまだに死刑の名の下で国家による殺人が行われている国や地域もある。また、サウジアラビアでは2024年に入って死刑執行が急増するなど、世界から死刑の完全廃止するには課題も多く残っている。一方で、2024年12月に、ジンバブエで死刑制度が廃止の法案が上院で可決された際には法務大臣が、「死刑は死刑になるものだけでなく執行者も苦しめる」という声明を出している。人権団体アムネスティ・インターナショナルは死刑は正義ではなく復讐であること、犯罪抑止の効果を持たないこと、自白の強要などの危険があることなど、死刑制度にまつわるさまざまな問題点を指摘している。

死刑についてもっと知る→「世界の死刑

【訂正(2024年12月24日):ジンバブエで死刑制度が廃止されたとしたが、正しくは、死刑制度が廃止の法案が上院で可決された。】

刑務所博物館、アメリカ(写真:Patrick Feller / Wikimedia Commons [CC BY 2.0])

3 Comments

  1. 小野幸治

    「2024年12月に、ジンバブエで死刑制度が廃止された際」とありますが、ジンバブエは2023年12月に死刑廃止を公布したのでは?

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    • GNV管理者

      コメントありがとうございます。ジンバブエの死刑制度は2023年に法案として提出され、2024年に内閣が法案承認、12月に上院で可決されました。記事では、「死刑制度が廃止」とありますが、正しくは上院で可決され、大統領による承認待ちの段階でした。お詫びして訂正いたします。

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  2. B

    国連総会で提出された決議文は「政治的、経済的、文化的制度の如何に関わらず、国家はすべての基本的人権と自由を保護する」とされているんですね。世界の死刑導入国の多くは、死刑を古くから導入しており、各国の死刑制度には「文化的な」側面がある、ということが言えます。国連が文化保護を謳っているように文化は各国のアイデンティティとして重要な事項です。
    国連が死刑制度においてはその「文化的」側面を無視しようとすることは矛盾しているように感じます。文化と規律を分けるということは難しいものですね。

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