気候変動は環境問題にとどまらず、経済にも深刻な影響を与える。地図は、気候変動が進行した場合に予想される2049年の世界各地の経済的損失を色分けして示している。色の濃淡は損失の大きさを表し、赤色が濃い地域ほど経済的損失が大きいことを意味する。この研究では、気温上昇が経済活動に及ぼす影響を詳細に分析しており、高排出シナリオでは世界全体でGDPの10%以上が失われる可能性があると指摘されている。
IPCC第6次評価報告書によると、気候変動は既に人間社会や自然環境に深刻な影響を与えており、今後10年間の行動が将来の被害規模を大きく左右するという。また、気候変動による経済的影響は地域差が大きく、特に農業や観光業に依存する地域やインフラが脆弱な国々で顕著だ。これらの地域では、気温上昇や異常気象による収穫減少や観光収入の減少が深刻な問題となる。
さらに、2024年の国際通貨基金(IMF)の報告では、気候変動対策への投資は単なるコストではなく、長期的には経済成長を促進する可能性があると強調されている。特に再生可能エネルギーや持続可能なインフラへの投資は、新たな雇用機会を創出し、経済をよりレジリエント(回復力のある)なものにするとされている。
気候変動報道についてもっと知る→「1.5℃超えの現実:世界の気候変動問題・対策と日本の報道」「気候変動の脅威:ポストコロナの報道とは?」
(図:Kotz et al / Wikimedia Commons [CC BY 4.0])
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