GNVニュース 2025年3月16日
2025年3月13日、アルメニアとアゼルバイジャン両政府は40年近く続いた紛争を終結させる平和条約の締結に同意したと発表した。この紛争は1990年代に、アルメニア系の住民が多く住んでいる一方で多くの国からはアゼルバイジャンの領土だとみなされていた、ナゴルノ・カラバフの帰属を巡って勃発した。以降はアルメニアの軍事支援を受けたナゴルノ・カラバフがアゼルバイジャンから「独立」したという形で落ち着いていた。しかし2023年9月、トルコの支援を受けたアゼルバイジャンが大規模な武力侵攻を行い、この地域に住む住民の約85%に当たる10万人のアルメニア系住民が避難を余儀なくされた。それ以降はアゼルバイジャンがこの地域を実質的に支配している。なお、平和条約の正式な調印の日時と場所に関する交渉はまだ続いている。
しかし、まだ問題は完全には解決していない。アゼルバイジャンは条約調印の前提条件として、アルメニアの憲法上の「ナゴルノ・カラバフのアルメニアへの帰属」に関する言及の削除を要求しているが、アルメニアの憲法改正には国民投票が必要であり、実現のハードルは高い。また、アゼルバイジャンがアルメニアにさらに多くの譲歩を要求する可能性もあり、完全な紛争の解決にはまだ時間が必要だと思われる。
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ナゴルノ・カラバフで軍事的目的で使用されるドローン(写真:David Stanley / Flickr [CC BY 2.0] )
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