気候変動対策の「白い屋根」が格差を助長する?

by | 2025年03月14日 | GNVニュース, サハラ以南アフリカ, 世界, 環境

GNVニュース 2025年3月14日

地球温暖化が進行する中、気温を低下させるために様々な取り組みが行われている。その一つに、屋根を白く塗装することで建物内部の温度を下げるというものがある。これは、白い屋根が太陽光を反射し、過度の熱吸収を防ぐことを利用した対策である。ブルキナファソでの調査結果では、屋根を白くすることで、トタン屋根の住居でも2年間で気温が最大1.7℃低下し、居住者の健康状態にもよい影響があったという。

また、屋根だけでなく道路や外壁を白く塗装することも、気温を低下させる効果があることが分かっている。

一方で、新たな研究によって、屋根や道路、外壁を白くする地球温暖化対策が、周辺地域の気温を上昇させることが判明した。地域単位で白い塗料を用いて、太陽光の反射率を高めると、周辺地域との反射率の差によって対流が増加し、雲量が変化する。その結果、周辺地域での降雨量が減少し、気温が上昇するという。

この研究結果は、気候変動によって不平等が深刻化する可能性を示す。例えば、高所得地域で屋根や道路、外壁の塗料を白くする対策が行われると、周辺の低所得地域の気温が上昇するといった、温暖化の押し付けが行われる可能性があるという。

気候変動と格差についてもっと知る→「気候変動が生む、新たな『アパルトヘイト』

気候変動による格差についてもっと知る→「気候変動問題における大きな一歩:ICJへの持ち込み

気候変動報道についてもっと知る→「1.5℃超えの現実:世界の気候変動問題・対策と日本の報道

ギリシャ:サントリーニ島におけるキクラデス様式の家屋(写真:Orthodox Church Architecture
/ Flickr[CC BY-SA 2.0])

0 Comments

Submit a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *