発効から20周年を迎えたたばこ規制枠組条約

by | 2025年03月2日 | GNVニュース, 世界, 保健・医療, 法・人権

GNVニュース 2025年3月2日

2025年2月、世界保健機関(WHO)総会によって1999年に採択されたたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(WHO Framework Convention on Tobacco Control : FCTC)が、発効してから20周年の節目を迎えた。この条約は、たばこのパッケージに健康上の被害を警告する表記を導入したり、受動喫煙を防止するための施策を講じたりするなどの措置を包括的に定めたものであり、WHOの後援のもとで採択された世界最初の公衆衛生条約である。締約国は183か国にのぼり、世界人口の約90%をカバーしているとされる。過去20年間でたばこの使用量は世界で約3分の1減少し、使用者は推定1億8,000万人減少しており、条約の効果が一定程度表れているといえるだろう。この条約により、現在138か国において、健康上の被害を紙巻きたばこのパッケージに写真を用いて大々的に警告することが義務付けられている。さらに、66か国においてたばこの広告やプロモーション、スポンサーシップ等が禁じられている。

たばこは、依然として心臓病、脳卒中、がんなどの病気の主要な原因であり続けている。2023年時点で、たばこによる健康被害で命を落とす人は世界で毎年800万人以上いるとされている。さらに、これらの病気の治療費などによる喫煙の経済的コストは、世界全体の年間GDPの1.8%と推定されている。また、毎年約4兆5,000億本ものたばこの吸い殻が廃棄されており、喫煙による環境負荷も指摘される。たばこのよる様々な悪影響に対してさらなる効果的な措置を講じるために、各国が条約の実施により一層積極的に取り組む必要があるだろう。

世界のたばこ問題についてもっと知る→「百害あって一利なし:世界にはびこるたばこ問題

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(写真:lil artsy / Pexels[Pexels license])

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