ノーベル賞受賞者ら、食糧危機回避へ前例のない嘆願

by | 2025年01月24日 | GNVニュース, 世界, 経済・貧困, 農業・天然資源

GNVニュース 2025年1月24日

ノーベル賞と世界食糧賞の受賞者153人が、世界の飢餓危機を回避するため、今後25年で大胆で野心的な技術を開発するための政治的な取り組み、財源の割り当てを世界の指導者に求める嘆願をした。受賞者133名が署名した公開書簡では、主要作物の光合成改善による成長最適化や微生物や菌類から栄養価の高い食品を作る技術など、漸進的ではなく実質的な飛躍をもたらす地球に優しい抜本的な取り組みを呼びかけている

世界の飢餓と貧困率は2015年まで減少傾向にあったが、2016年以降増加に転じている。現在約7億3,300万人が慢性的な飢餓に直面し、28億人が健康的な食事をとる余裕がない。公開書簡では2050年までに世界人口が15億人増加すると予想されている中、人類が将来の食料ニーズを満たすには「程遠い」状況であると警告している。特にアフリカでは気温上昇が速く、人口急増にもかかわらず多くが主食とするトウモロコシの収穫量の減少が予測されている。世界が最新の研究とイノベーションを強化しない限り、2050年までに「さらに食料不安で不安定な世界」に直面するとされている。

作物生産に関する最新の研究とイノベーションへの投資の他にも課題がある。飢餓や貧困で苦しむ人々へ支援を行う国際連合の人道支援資金調達は2024年2年連続で目標の半分以下となった。主要寄付国ドイツは支援削減、アメリカも他国との支援額のギャップに不満を持つドナルド・トランプ政権下で支援資金削減が懸念されるなど、人道支援への資金面の課題も山積みしている。

世界の食料不足についてもっと知る→「世界の食料不足:報道されない問題とは

一面に広がるレタス畑(写真: gillmar / Shutterstock.com)

1 Comment

  1. CM

    28億人もの人々が食糧についての不安に直面している深刻な状況に対して、政治や財源の仕組みや構造にアプローチして抜本的に変化を起こす必要性を指導者らに訴えた今回の動きが提言という形で終わるのではなく、実質的に改善につながっていってほしいと思いました。

    世界ではこうした飢餓という問題が深刻化する一方で、日本で過ごしていて食糧危機を肌で感じることは少なく、飲食店等でアルバイトをする際には大量の食料廃棄という現実も実際に目の当たりにしました。今回のような仕組みの変化へのアプローチと同時に、身の回りの生活で目に見える範囲から足を一歩引いて、問題にきづく人、その問題を自分ごととして捉える人が増えていくことが必要だと感じます。

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