GNVニュース 2025年1月22日
国際NGOオックスファムは、2024年の世界の億万長者の富は2兆米ドル増加し、富の増えるスピードは前年と比較して3倍も早く、1日あたりで換算すると5.7億米ドルも増加していると報告した。一方で、同報告書は貧困状態にある人々の数は1990年から変化していないとしている。また、2024年の億万長者は2,769人で前年よりも200人ほど増加し、億万長者たちの総資産も2023年から2兆ドル増の15兆ドルとなった。2024年、オックスファムは億万長者ならぬ兆万長者が次の10年以内に出現するだろうと予測していたが、今の傾向が続けば10年以内に少なくとも5人の兆万長者が出現するだろうと報告を修正している。またオックスファムは、世界の格差解消には富裕層への課税とタックスヘイブンの廃止が不可欠であるとしている。
オックスファムによる最新の世界の格差報告と時を同じくして、1月20日から世界経済フォーラムの年次総会、ダボス会議がスイスで開催されている。世界経済フォーラムは世界規模の課題を取り上げることもあり、世界的な政治、経済の潮流に大きな影響力を持つとされている一方で、会議に集まるのは権力や富が集中する人物が多いことも問題視されている。2019年のダボス会議では、オランダの歴史家ルトガー・ブレグマン氏が「1,500機のプライベートジェットがやってきて、地球環境の話をしています。(中略)ここにきて私は、参加、正義、公平性、透明性、そんな言葉を聞きましたが、租税回避を指摘する人は誰一人としていません。金持ちが公正な負担をしていない、という話です。(中略)税金について話しましょうよ。税金、税金、税金です」と発言した。ダボス会議で富裕層たちが世界の格差の実態に向き合い、自らを億万長者たらしめる仕組みの解消について話し合う日は来るのだろうか。
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ダボス会議に集まる人たち(写真:Drop of Light / Shutterstock.com)
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