GNVニュース 2025年1月17日
国際移住機関(IOM)は2025年1月14日、ハイチにおいて2024年の国内避難民人口が2023年と比較して3倍の104万人以上に上ったことを報告した。「ギャング」と呼ばれる複数の武装勢力が大部分を支配している首都ポルトープリンスでは、2024年に5,600人以上が暴力によって死亡し数千人が負傷または誘拐された。このような暴力行為、医療サービスを代表とする必須サービスの崩壊、食糧不足の拡大により、避難民が87%急増しており、半数以上は子どもだとされている。避難したハイチ人の83%が知人、友人、家族など、すでに過負荷になっているホストコミュニティに頼っており、首都の避難所でも、食料、安全な水、衛生、教育など基本的なサービスが不足している。加えて、2024年には20万人のハイチ人がドミニカ共和国やアメリカ合衆国から強制送還され、すでに飽和している社会サービスに更なる負担がかかっている。
ハイチは、カリブ海に位置し、元々タイノ族が住んでいたが、フランスの植民地となり、アフリカから奴隷が強制移住させられた歴史を持つ。1804年に奴隷達の蜂起により独立を果たした。しかし、フランスへの莫大な賠償金支払いや、アメリカの介入、「ギャング」の元とも言われる私兵を有する独裁政権の台頭、大統領へのクーデター、大規模な地震など、様々な困難に直面してきた。2021年のジョベネル・モイーズ大統領暗殺後は政治的空白が生じ、各地で武装勢力による支配が拡大した。2024年4月には暫定首相であったアリエル・アンリ氏が追放され、ハイチ政府は機能不全に陥っている。ケニア主導の多国籍安全保障支援ミッション(MSS)が展開されているが、十分な成果はあげられていない。
ハイチについてもっと知る→「ハイチ:政府の不在とその展望」

ドミニカ共和国からハイチに渡った家族にインタビューするIOM職員(2015年)(写真:IOM – UN Migration / Flickr[CC BY-NC-ND 2.0])
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