GNVニュース 2024年12月20日
2023年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)においてブラジルが発表した、熱帯林国の森林減少と劣化を抑制・逆転させる経済的動機付けを与える多国間投資基金、トロピカル・フォレスト・フォーエバー・ファシリティ(TFFF)が、2025年に開催されるCOP30で開始される予定である。熱帯林は地球温暖化の原因となる二酸化炭素を炭素として貯蔵する他、降雨パターンの調整、生物多様性の保全など様々な機能を果たしている。しかし、森林破壊を助長する産業により、世界では過去20年間で年間約36万ヘクタールの熱帯林が失われてきた。今回は森林破壊を助長する経済を逆転させるためのTFFFの具体的な仕組みを改めて解説する。
TFFFとは投資から生まれた利益を森林保全を行う低所得国に分配するものだ。主に高所得国の政府または民間セクターがTFFFに預金し、TFFFはこの資金を高リターンが見込まれる投資先に分散的に再投資する。この投資によって生み出される利益は、まず預金した政府または民間セクターの固定金利の返済に充てられ、利益の余剰分が熱帯林保護をする低所得国に熱帯林の面積、及び熱帯林保護の実績に基づいて分配される。保護された森林面積は最新の衛星技術を活用して正確に測定され、例えば、保護された森林1ヘクタールあたり4米ドルの支払いが行われる。現時点で投資利益から預金額への固定金利を差し引いた余剰利益は年間約40億米ドルと試算されており、持続的な森林保全が期待される。
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空から見たアマゾンの熱帯雨林、ブラジル(写真:lubasi / Wikimedia Commons [CC BY-SA 2.0])
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