カシミール:自治権廃止後初の選挙

by | 2024年10月11日 | GNVニュース, アジア, 共生・移動, 政治

GNVニュース 2024年10月11日

2024年10月8日、インドが支配しているジャンムー・カシミール州で行われた10年ぶりとなる州議会選挙の結果が発表された。ジャンムー・カシミール州は、インドとパキスタンが互いに領有権を主張しているカシミール地方のうち、インドが支配している地域の一部を指す。この選挙は、2019年にジャンムー・カシミール州の自治権が撤回されてから初めて行われるものであり、注目を集めていた。選挙結果は、自治権回復を掲げるジャンムー・カシミール国民会議(NC)が42議席を得て第一党となった。また、NCと連合を組んだインド国民会議は6議席を獲得し、この連合で90議席ある州議会の半数を超える48議席を確保した。一方、インドの首相であるナレンドラ・モディ氏が率いるインド人民党(BJP)はヒンドゥー教徒が多く住むジャンムー州で支持を集め、29議席を獲得した。

ジャンムー・カシミール州は1990年以降、反政府武装勢力の活動により数千人が犠牲となった。2019年に連邦政府により自治権を撤回され、以降インド政府が任命した知事や官僚により統治されるようになったが、反対する市民を抑えるために厳しい取り締まりやインターネット回線の切断をはじめとする強硬な手段を取った。今回の選挙は2019年以降の一連の動きに対する賛否を問う国民投票の側面もあったと指摘されている。一方で連邦政府や、連邦政府により任命される州副知事が依然として大きな権限を有しており、州議会が持つ権限が限定的であるため自治権の回復は困難であるとも主張されている。

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2009年に行われたインドの総選挙に際して、カシミール地方のスリナガルの投票所で列を作る人々(写真:Public.Resource.Org / Flickr [CC BY 2.0])

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