GNVニュース 2024年9月27日
環境保護団体オイルチェンジ・インターナショナルは気候変動対策費として5兆米ドルを確保する方法について、最新の報告書に記載した。その方法とは、高所得国が石油産業・ガス産業への補助金を削減し、大規模汚染者への課税、大企業や富裕層による脱税の取り締まりであると言う。世界各地でこれまで以上に極端な気象現象が相次ぎ、多くの被害が出ている中で、気候変動対策のための財源確保は喫緊の課題である。
気候変動の原因を考える際、経済発展の過程で大量の温室効果ガスを排出してきた高所得国の責任は大きい。一方で、気候変動による気象現象による被害は低所得国ほど深刻になる傾向がある。これは、高所得国は、発達したインフラや緊急事態に使える財源を用いて被害を抑えることができるのに対して、低所得国ではインフラや財源といった面で脆弱性を抱えており、気候変動による影響をダイレクトに受けてしまうためである。このような状況は気候アパルトヘイトと呼ばれており、国家間だけでなく、収入面などでも経済的に弱い立場にあるほど気候変動の影響を受けやすい。気候変動の原因を作り出してきた高所得国が今回の報告書の内容をどれだけ真摯に受け止め、実行に移すのかが今後の重要な争点になりうるが、2023年時点で高所得国を含むG20諸国は化石燃料に対する補助金の支出を2021年比で4倍に引き上げているのが現状だ。
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石油掘削装置(写真:cclark395 / Flickr[CC BY-NC 2.0])
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