GNVニュース 2025年8月15日
2025年7月24日、世界保健機関(WHO)は東ティモールをマラリア撲滅国に認定した。マラリア撲滅国の認定は、その国で少なくとも3年連続で現地住民の間での連鎖的な感染が起きなかったと判断された場合にWHOが行うものであり、2025年では東ティモールの他にジョージアとスリナムもこの認定を受けている。これら3カ国を含めて現在47カ国と1地域がマラリア根絶国に認定されている。
2002年にインドネシアから独立した東ティモールはかつてマラリアが蔓延していた国であったが、2003年に始まった保健省主導の国家マラリアプログラムにより改善が大きく進んだ。迅速診断検査や有効な治療法の導入、殺虫剤処理がなされた蚊帳の配布や医療アクセスの拡充などにより、2006年では約22万3,000人も報告されていたマラリアの感染が、2021年以降現地住民の間では確認されていない。
その一方で、ボツワナ、エスワティニ、ナミビア、ジンバブエなどのアフリカ南部ではマラリアは急増していると報告されている。特にジンバブエは増加が顕著であり、2025年6月1日からの1週間での感染者数は約11万2,000人、そしてマラリアによる死者数は310人が報告されている。これらは前年の同じ時期に比べてそれぞれ約3.4倍、6.3倍の増加となっている。これらの背景には、降水量の増加に起因するマラリア媒介生物である蚊の増加や生息圏の拡大、あるいはアメリカの資金提供の終了による金銭や物資の不足があると考えられている。
マラリアについてもっと知る→「マラリア:アフリカで達成された改善は失われるのか」
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東ティモールで蚊を駆除する男性(写真:Ministerio da Saude Timor-Leste / Wikimedia Commons [public domain])
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