GNVニュース 2025年8月13日
2023年4月から続くスーダン紛争では、戦火を逃れようと各地に避難する人々が飢餓や軍事組織による攻撃に苦しみ続けている。
2025年8月現在、北ダルフール州のエルファシールは、対立するスーダン軍(SAF)と迅速支援部隊(RSF)の戦闘がもっとも激しい地域のひとつである。紛争が勃発して以来、エルファシールのSAFやその他勢力はRSFに取り囲まれ孤立している状態である。RSFはエルファシールを支配することができれば、ダルフール地域をほぼすべて手中に収めることができるため、攻撃を強めている。街はRSFによって封鎖されているため、食糧などの支援物資がほとんど入ってこない。食糧価格が高騰して人々に届かず、飢餓状態が深刻化している。動物用の飼料を食べることなどで人々はなんとか飢えをしのごうとしているが、およそ74万人の飢餓状態が悪化し、2025年の上半期だけで少なくとも239人もの子どもが飢餓で亡くなった。エルファシールの西に位置するタウィラに更に避難する人々も多くいるが、道中でRSFの戦闘員に襲われることもあるという。
エルファシールから南西に15km離れたところに位置するザムザム難民キャンプは、かつて、50万人以上が避難するスーダン国内で最大級の避難キャンプであった。しかし、2025年4月、RSFに3日間にわたり攻撃され、多くの人々が避難を強制された。およそ40万人の人々がザムザム難民キャンプから北ダルフール州各地にさらなる避難を余儀なくされた。この攻撃では、多くの人々が殺害・誘拐されたとみられている。国連は数百人の死者が出たと発表したが、実際はそれよりも多く1,500人以上の人々が殺害されていると推定されている。ただ、2025年8月現在、ザムザムのキャンプは、RSFの管理下にあるため、回収されていない遺体を考慮するとその総数は更に大きくなる可能性がある。
このように激しい戦闘が続く状況下で、スーダンの人々は飢餓や蔓延するコレラにも苦しんでいる。しかしながら、国連の人道支援計画には、必要な資金のうち、わずか23%しか集まっていない。
スーダン紛争についてもっと知る→「スーダン紛争の行方」
スーダン紛争についてポッドキャストで聴く→「スーダン紛争(GNVポッドキャスト141)」
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