内陸諸国に焦点を当てた第3回目の国際会議が開催

by | 2025年08月10日 | GNVニュース, 世界, 経済・貧困

GNVニュース 2025年8月10日

2025年8月5日から8日にかけ、トルクメニスタンのアワザで第3回目となる「国連内陸国開発途上国(LLDC)会議」が開催された。この会議は、直接的な海路へのアクセスがない低所得国が直面する課題に対処することを目的としている。2024年に採択された2034年までの10年間における行動計画を正式に承認し、それを基盤に新たに「アワザ政治宣言」が採択された。これは前回の会議で採択された2014年から2024年までのウィーン行動計画から得られた教訓に基づき、特に経済構造の変革、貿易の活性化と地域連携、インフラ整備、気候変動への適応と災害リスク軽減、資金調達の5つの分野に焦点を当て、進展を目指している。さらに、会議中には内陸諸国のための連合が新たに設立され、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下で、気候変動への対応を求める脆弱な立場を補完する交渉力強化の枠組みが築かれた。

今回の国際会議に招へいされた内陸国は32カ国存在する。これらの国々は港までの距離が遠く、輸送費や通関コストが沿岸国に比べて負担が大きい。そのため、国際市場への参入が制約され輸出額は世界全体で1.1%にとどまる。また、インフラ整備や開発プロジェクトへの援助に依存し、民間資本へのアクセスや国外投資も限られているほか、鉱物資源など一次産品への依存や債務問題を抱える国も多い。さらに、多くが乾燥地帯に位置するため干ばつや砂漠化など気候変動の影響を受けやすく、医療やデジタルインフラも脆弱である。このように、内陸諸国の多くは地理的・経済的に複合的な脆弱性を抱えている。しかし同時に、内陸国は地理的な制約を抱える一方で、若い人口や豊かな資源を活かし、今後の投資によって成長の機会をつかむ期待や、近隣国との橋渡しとしての可能性をも持っている 。

海洋アクセスへの試みについてもっと知る→「南米大陸横断回廊と内陸国パラグアイ

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写真:トルクメニスタンとイランの国境(Gilad Rom / Flickr [CC BY-NC 2.0] )

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