国連食料システムの状況評価:世界の飢餓状況の不均衡明らかに

by | 2025年08月3日 | GNVニュース, 経済・貧困

GNVニュース 2025年8月3日

2025年7月27日から29日にかけて、エチオピアのアディスアベバで、2021年に始まった国連食料システムサミットの第2回目となる見直しの会議(UNFSS+4)が開催された。この会議では、「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI2025)」報告書も発表され、2024年の世界の飢餓人口は約6億7,300万人(世界人口の8.2%)と、前年からわずかに減少したことが明らかになった。しかし、アジアやラテンアメリカで進展の兆しが見える一方で、アフリカと西アジアでは飢餓が悪化しており、特にアフリカでは人口の20%にあたる3億700万人以上が慢性的な栄養不足に直面していることも国連食糧農業機関(FAO)により報告され、地域の不均衡な食料アクセスが依然として残る現状が示されている。

2021年に初めて開かれた食料システムサミットは、世界の食料問題を包括的に捉えることを目的とし、食品を生産、加工し、消費者に届けるために必要な一連のプロセスである「食料システム」に関する世界初の会議であった。今回は2030年が期限となる持続可能な開発目標(SDGs)の実現を目指した、2023年に続く2回目の見直しの会議である。会議では3つの目標として①加盟国の目標設定や成果、課題を整理し、進捗状況を文書化すること、②進捗を追跡し、課題の説明責任を強化すること、③解決策の拡充と官民の協力で、食料システム変革への投資を進めることに焦点があてられた。

食糧不安の背景には、紛争や気候変動、新型コロナウイルスのパンデミック以降の持続的な食料価格高騰によって、低所得層は健康的な食事へのアクセスが阻害されていることが挙げられる。2030年には、世界で慢性的な栄養不足に陥るとされる人々のうち、およそ60%がアフリカに集中する可能性があることも指摘されている。報告書はすべての人が十分かつ安全で栄養価の高い食料にアクセスできるよう、脆弱層への支援、金融政策の透明性、農業への投資を組み合わせる必要性を提言しているが、一方で資金不足が深刻化しており、支援が途絶えれば何千万人もの人々が危機に直面すると警鐘を鳴らしている。

世界の食料不足についてもっと知る→「世界の食料不足:報道されない問題とは

食料生産からみる課題についてもっと知る→「食料生産が地球にもたらす影響

写真:国連食糧システムサミット第2回目となるストックテイク会議の様子(ILRI / Flickr [BY-NC-ND 4.0] )

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