GNVニュース 2025年7月30日
2025年7月24日、ペルー当局は違法な金の採掘に使用するとみられる水銀約4トンを押収したと発表した。同年6月にペルーの首都リマに位置するカヤオ港において押収されたこの水銀は、メキシコからボリビアに向かう貨物船に積載され、砂利の混ざった袋の中に隠されていた。その袋には「砕石」と書かれていたが、ペルーの税関機関SUNATによる調査の結果、砂利に埋め込まれた水銀を発見した。この押収量は、アマゾン地域では過去最大規模だとされている。
水銀は金の採掘に利用されており、以下がその手順である。まず、金が含まれる岩石を採取し、砕いて容器の中に入れて、そこに水銀を注ぐ。すると、金が水銀に付着してアマルガムと呼ばれる銀色の合金が形成され、これを加熱すると水銀が蒸発し、純粋な金を採取することができる。しかし、この加熱の過程で発生する高濃度の水銀蒸気は、採掘者や周辺住民に深刻な健康被害をもたらすとされる。
ペルーでは違法な金の採掘が蔓延しており、2024年には、違法採掘の金の輸出額が68億米ドルに達した。金の価格が世界的に高騰し続ける中、こうした違法採掘の金の取引はメキシコやペルーの犯罪グループにとって、重要な収入源となっている。ペルーの議会は零細及び小規模な採掘を規制するために制定した、鉱業合法化登録制度(Reinfo)の延長を議論しているが、これまでのところ成果は上がっていないとされる。この合法化登録を申請した鉱山労働者は刑事責任から免除されるため、多くの労働者が違法に金の採掘を続けることが可能となってしまっている。こうした違法採掘は法律の枠外で行われるため、有毒物質の使用や、禁止区域での採掘、環境や安全規制の無視が常態化している。その結果、大規模な森林破壊、水銀中毒、そして採掘現場周辺での劣悪な衛生環境に起因する感染症などの健康被害が多数確認されており、ペルーの豊かな自然と国民の健康は深刻な脅威に晒されている。
金の違法採掘についてもっと知る→「ペルー:世界を巻き込む金の違法採掘」
環境活動家についてもっと知る→「ラテンアメリカ:脅かされる環境保護者」

ペルーにおいて川底の泥と水銀を用いて金を抽出している船(写真:
USAID Biodiversity & Forestry / Flickr [CC BY-NC 2.0])
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