再生可能エネルギー:更なる低コスト化へ

by | 2025年07月26日 | GNVニュース, テクノロジー, 世界, 環境, 経済・貧困, 農業・天然資源

GNVニュース 2025年7月25日

2025年7月22日、国際連合は、再生可能エネルギー(以下再エネ)のコスト低下と普及が不可逆的に進む転換点を既に通過したと発表した。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、2024年における電力源の1kWhあたり費用は安いものから順に、陸上風力、太陽光パネル、新規水力発電であった。風力発電は最も安価な化石燃料と比較して既に53%安く、太陽光発電は41%安く、より普及していく見込みだ。

低コスト化の中で、2024年に新たに増加した発電容量の92.5%は再エネ由来であった。2015年から2024年の間に再エネ容量(設備が理論上発揮できる最大出力)は140%増加し、電力消費量の増加にもかかわらず、化石燃料容量の伸びは16%に留まった。しかし、2024年時点で世界のエネルギー供給の80%は依然として化石燃料が占めており、再エネへの転換が不可欠となっている。また、低・中所得国での電力使用量増加や、1カ所あたり約10万世帯と同じ電力量を消費するAIデータセンターの増加、気温上昇による冷房需要の増大などに伴い電力消費量は増えており、これらの増加量を再エネで賄う必要がある。

アフリカは世界の電力未供給人口の85%を占めており、今後の電力消費増加に対応するために再エネの拡大が急務である。しかし現状、アフリカは世界の再エネ容量の1.5%しか有しておらず、再エネ容量の約41%を有する中国や39%を有する経済協力開発機構OECD)加盟国などと比較して極端に少ない。世界全体の再エネ投資2兆米ドルの内、アフリカが受け取る割合は約5分の1に留まっているため、低・中所得国への再エネ投資のための資金調達が課題である。

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ケニアのンゴング丘陵にある風力タービン(写真:Mwangi Kirubi / Flickr [CC BY-NC 2.0])

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