GNVニュース 2025年7月18日
2025年7月15日、45以上の国で国籍法に性差別が残存していることが国際人権団体によって発表された。これらの国では自国籍の取得、保持、変更、外国人配偶者への国籍付与のいずれかで、女性が男性と同様の権利を持てていない。また、24カ国で女性は男性と同様に自分の子どもに国籍を付与する権利を持ててない。
居住国の国籍を持たない女性やその子どもが男性配偶者の市民権に依存している場合、たとえ配偶者が虐待的でも関係を断ち切れず、家庭内暴力からの脱却が困難となる。また、性差別的な国籍法による被害は女性個人だけが被るものではない。父親がその国の国籍を持たず、母親の母国で暮らす子どもが国籍を得られないケースでは、公教育や公的医療、福祉などの行政サービス、就労許可、銀行口座の開設が制限され、専門職への就職に必要な職業団体への加入も困難になる。
更にこうして無国籍になった子ども、特に女性は、非公式な労働環境に置かれやすく、書面による労働契約が結ばれないことで、雇用主によるセクシュアルハラスメントや性的暴行などの搾取に一層脆弱となる。一部の家族では、子どもの市民権確保の手段として早期結婚や強制結婚を選択することがあり、その結果、人身売買や児童婚も生じている。更に、女性が外国籍の男性配偶者に市民権を与えられないことで、男性配偶者が現地で合法的な在留資格や雇用機会を得ることが難しくなり、家族の分離や生活の不安定化を招いている。
女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)や持続可能な開発目標(SDGs)、女性の人権とエンパワーメントに関する最も包括的で高水準な国際的枠組みである北京行動綱領等を元に、多くの国で女性への人権尊重や法制度の見直しが進んでいる。女性差別が国籍法に残る国においても、市民や親、配偶者といった包括的な単語を使用した、男女平等的な国籍法への早急な改正が求められる。
日本における女性差別に関する国際報道についてもっと知る→「女性差別に関する国際報道」
ジェンダー平等に向けた世界の姿勢についてもっと知る→「ジェンダー不平等と世界」

女性から子どもへの国籍付与を認めていない国の一つ。イラク共和国のパスポート(写真:Kushared / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0])
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