マラリアは、マラリア原虫が蚊を介して人に感染する病気で、発熱や倦怠感などの症状がある。顕微鏡検査によって血液中の原虫を確認することで診断できる。
世界では毎年、推定2億6,300万人がマラリアに感染し、約59万7,000人が死亡している。そのうち95%以上がアフリカで発生しており、最も深刻な影響を受けている。ニジェールでは、毎年およそ3万5,000人がマラリアで命を落としている。
近年、マラリアワクチンがようやく承認され、導入も始まっているが、その開発には35年という長い年月がかかった。背景には、製薬研究が利益優先の構造になっているという問題がある。マラリアのように、主に低所得国に影響を及ぼす感染症は収益性が低く、研究開発に投じられる資金も限られている。一方で、高所得国が直面する病気には多くの資金が集まっている。
医薬品の研究と供給の仕組みをどう改革し、医療技術を世界全体で効果的に開発し共有できるようにするかは、人類が直面する大きな課題のひとつとなっている。そのためには、公的資金の活用、国際協力の強化、知的財産権制度の見直し、地域主導による製造と供給体制の構築など、多面的な制度改革が求められている。
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(写真: PMI Impact Malaria / Rawpixel [CC0 1.0])
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