GNVニュース 2024年7月11日
2025年2月、長期の物価上昇に苦しむマラウイの首都リロングウェで大規模なデモが起き、周辺4都市へと飛び火した。これらは2019年以降、一番大きなデモになった。2025年9月16日に大統領選挙を控えた東南アフリカのマラウイでは日用品の物価上昇が問題になっている。2025年4月には年間インフレ率29.2%、これはアフリカ諸国でも最も高い数値とされている。物価上昇は食料品にも影響し、主食であるトウモロコシ粉は50キロで63米ドル相当、2024年12月と比較して3倍になった。これは家事労働者最低賃金の2倍の月給に相当し、低所得層への影響は甚大だ。
マラウイの物価上昇には様々な要因があるとされる。その中でも外資不足はマラウイの物価上昇に拍車をかけている。マラウイ国内通貨であるマラウイ・クワチャは2025年7月時点で、1米ドル=1,700クワチャで取引されているが、これは2022年と比較して半分の価値しかない。
マラウイでは、登録された企業は必要な外資を指定銀行や財務省を通して申請することができるとしているが、手続きをしても準備可能な外資がないと断られる企業が報告されている。その結果、外資の闇取引が拡大し、2025年3月には1米ドル=5,000クワチャまで急騰した。為替相場は大きく不安定化している。
2025年5月、国際通貨基金(IMF)は、マラウイ政府への1億7,500万米ドルの融資プログラムを打ち切ったことも問題視されている。これは、2023年11月に承認された支援策だったが、マラウイ政府の不適切な経済運営を理由に終了された。政府の経済運営に対しても、国民の間で不信感が高まっている。
数か月先の大統領選挙に向け、マラウイ政府は外資闇市の撤廃、国内で生産できる必需品でない商品の輸入禁止、また地元企業を支援し生産を奨励する制度の導入を次期予算案に記載した。
また、マラウイ政府はこの急増するインフレと米ドルに対するクワチャ安を考慮し、2025年5月13日、最低賃金を40%上げると発表し、一般労働者の最低賃金は月90,000(US$52)から126,000クワチャ(US$72)、家事労働者などは月52,000(US$30)から72,800クワチャ(US$42)、小規模企業労働者は月75,000(US$43)から105,000(US$60)クワチャとした。
しかし、最低賃金の上昇はインフレの根本的解決にはならない。IMF融資停止や外貨不足による闇市場拡大など、マラウイのインフレの課題は依然深刻な状況にある。
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トウモロコシ粉で主食のンシマを作る女性たち、マラウイ(写真:IFPRI / Flickr[CC BY-NC-ND 2.0])
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