ハイチ:犯罪組織が首都の90%を掌握

by | 2025年07月9日 | GNVニュース, 北中アメリカ, 法・人権, 紛争・軍事

GNVニュース 2025年7月9日

2025年7月2日、国連薬物犯罪事務所(UNODC)のガーダ・ワーリー事務局長は、国連安全保障理事会でハイチの首都ポルトープランスの90%が複数の犯罪組織に掌握されていると報告した。ハイチでは2021年に当時の大統領が暗殺されてから混乱が続いており、2024年の1年間で犯罪組織の暴力により少なくとも5,600人が死亡している。また、首都の人口の半数にあたる130万人の人々が暴力から逃れるために避難を強いられている

このような状況の中で、犯罪組織は人々を搾取している。具体的には、恣意的な暴力や性的暴力、誘拐、そして人々の兵士へのリクルートを行なっていると指摘されている。また、犯罪組織が行う支配地域での通行の統制が物流の混乱や物価の高騰を引き起こしており、状況が変わらなければ2025年の間に国民の半分以上の570万人が深刻な食糧不足に陥ると推定されている。一方、警察が行う超法規的措置による殺害も懸念されており、2024年には281件の殺害が報告されている。

なお、2024年からケニアが主体で多国籍安全保障支援(MSS )ミッションが行われており、この一環でケニアの警察がハイチに展開している。しかしこの取り組みについては資金も人員も不足していると指摘されている。また、ハイチの犯罪組織はアメリカドミニカ共和国からの輸送ルートを通じて武器を不正に入手していると報告されており、これらの国からの武器密輸を防ぐことも重要だと考えられている。

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ハイチの首都ポルトープランスにある避難所(写真:Pan American Health Organization PAHO / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])

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