環境紛争に関与する104の超紛争企業

by | 2025年07月4日 | GNVニュース, 世界, 法・人権, 環境

GNVニュース:202474

20256月に発表された最新の研究によると、全世界の環境紛争に関与した企業の内、わずか2%にあたる104社が全体の20%もの環境紛争に関与、つまり複数地域で同様の環境紛争を繰り返している実態が判明した。この研究は全世界の環境紛争事例を収集・記録した最大規模のデータベース「環境正義アトラス(EJAtlas)」に2024年時点で記録された環境紛争を元にしている。以下、これら104社を研究中のラベル付に従い「超紛争企業」と呼ぶ。

環境紛争とは、「環境をめぐる利害関係や価値観の相違から生じる争い」のことであり、しばしば企業や政府による資源開発や事業拡大が地域住民の土地や暮らし、健康、人権、自然環境に悪影響を及ぼし、これが原因で対立が生じている。

今回の研究で特に注目されるのは、グローバルノース(高所得国)の企業が関与する環境紛争の半数がグローバルサウス(低所得国)で発生している点だ。「超紛争企業」の約9割が多国籍企業であり、この大部分はアメリカ、フランス、スペインなどの高所得国及び中国に本社を置き、多くが鉱業、化石燃料産業、農業関連産業分野の事業で、先住民や伝統的コミュニティ、差別を受けやすいコミュニティに影響を与えている。また、多国籍企業が関与する環境紛争は、より深刻な社会経済的影響や悪い結果をもたらしやすいことも今回の研究で判明した。

一方で、「超紛争企業」の3分の2国連グローバル・コンパクト(企業の持続可能性や社会的責任に関する自主的な枠組み)に加盟していることから、自主的な取り組みの限界と拘束力のある規則や説明責任の必要性や、「超紛争企業」の一部のESG評価(企業の環境・社会・ガバナンスに関する取り組みやリスク管理状況の評価)が高いことからESG評価の妥当性への疑問も述べられている。

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世界中の環境紛争事例をプロットした地図(写真:EJAtlas [CC BY-NC-SA 3.0])

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