ベトナム:8つの犯罪で死刑廃止

by | 2025年07月2日 | GNVニュース, アジア, 法・人権

2025年6月25日、ベトナムで、8つの犯罪で死刑を廃止する刑法改正案が議会で可決され、7月1日に発効した。

今回死刑が廃止になった犯罪には、麻薬の輸送、横領、国家の施設の破壊などがある。ベトナム政府は、犯罪の性質や重大性、犯罪による損失の規模について慎重に分析した結果、死刑廃止の対象となる犯罪を決定 したとしている。これらの犯罪の最高刑は今後終身刑となり、発効以前にこれらの犯罪で死刑判決を受けていて未執行の者についても、終身刑に減刑されることとなった。この改正案が可決された経緯として、ルオン・タム・クアン公安大臣は、現在の死刑制度には問題があり、社会経済的状況や実際の犯罪予防にそぐわないことを挙げている

ベトナムは、世界有数の死刑執行国として知られている。政府は、2013年から2016年の間には429人が処刑されたと公表しており、イランと中国に次いで多い。しかしこのデータを除いて、死刑執行人数は国家機密となっている。死刑判決のうち最も多いのは、麻薬に関連する犯罪で、アムネスティ・インターナショナルによると2024年に下された150件の死刑判決のうち121件を占めている。犯罪抑止における死刑の有効性には以前から疑問が呈されており、政府も今回の改正案提出の際にこの点について言及している。

今回の改正を受けて、アムネスティ・インターナショナルは、「前向きな一歩」と評価しているが、広範な改革には及んでいないと警告した。

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ホーチミン市のチーホア刑務所(写真:Tokeisan (thảo luận) / Wikimedia Commons[CC BY 3.0])

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