GNVニュース 2025年6月29日
2025年6月25日、ケニアで警察の暴力と政府の汚職への抗議を目的とした大規模集会が全国23郡で開催され、警察との衝突で少なくとも19人が死亡、530人以上が負傷した。6月初旬には教師兼ブロガーのアルバート・オジュワン氏が警察の拘留中に死亡し、その死が新たな抗議の引き金となった。これに対してケニア政府は抗議活動のテレビ中継を禁止したほか、民間放送局へ警察が襲撃し違憲的に放送を遮断するなど、メディア統制を強めている。こうした事態を受け、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は警察による過剰な武力行使に対する懸念を表明する声明を発表した。
この抗議活動は2024年の政府による増税法案に抗議するデモから1周年を記念したものである。2024年6月に政府によって提出されたこの財政法案は、経済発展のための歳入や財政赤字への対処のために導入された。しかし、生活必需品を対象とした増税や付加価値税(VAT率)の引き上げ、その他既存の税率の引き上げが含まれていた。この法案に対し、経済的負担を増大させ、格差を永続させるとして若者を中心とした市民が議会を占拠する大規模なデモが発生し、警察の発砲により少なくとも65人が命を奪われる事態となり、最終的にウィリアム・ルート大統領は法案を撤回に追い込まれた。しかし、その後も政府の汚職や抗議者に対する警察の常態化した暴力、政府批判者の頻繁な失踪や生活水準の低下への不満は高まり続け、ソーシャルメディアを通じて抗議活動が拡大している。
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写真:ケニアにおける抗議活動の様子(Capital FM Kenya / Wikimedia Commons [CC BY 3.0] )
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