GNVニュース 2025年6月27日
2025年6月25日、コロンビアでグスタボ・ペトロ大統領が推進してきた労働改革法案が、ついに成立した。
今回の法案は労働搾取を減らすことを目的とした70の条項からなっている。主な内容としては、夜間労働(19時から翌6時)への割増賃金の支給、日曜・祝日の労働賃金が通常の2倍になること(段階的にひきあげ、2027年に実現予定)、近隣の子ども達にケアと教育を提供するコミュニティマザーや家事労働者の正式な雇用化、国立職業訓練機関の学生が雇用契約を受けること、医学生インターンシップの最低賃金保証、ギグワーカーやプラットフォーム労働者の権利保護、障害者雇用枠の導入などが挙げられる。さらに、無期雇用契約を基本とし、有期契約は最大4回までの更新に制限されるなど、雇用の安定化が図られている。女性や若者、障害者といった社会的に弱い立場の労働者への配慮が強調されており、ジェンダー平等や社会的包摂の観点からも画期的な内容となった。
この歴史的な法案承認に至るまで、コロンビア上院の2度に渡る法案の否決や経済界からの反発があった。しかし、この支配階級の決定に反発する労働組合や学生団体、農民団体が、ペドロ大統領の呼びかけで全国規模の抗議やストライキをした他、6月12日にはペドロ大統領が上院への圧力をかけるため、国民投票実施の大統領令に署名した。この動きが上院での再審議を促し、激しい議論の末、ついに上院での承認に至った。6月20日には、可決により不要になった国民投票をペトロ大統領が撤回した。続く下院での承認の後、6月25日にペトロ大統領が法案に署名し法案が成立した。ペトロ大統領は、労働改革法案承認に続き、新しい憲法策定のための国民投票を呼びかけている。
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労働改革法に署名したペドロ大統領(写真:Presidencia de Colombia / Flickr[PDM 1.0])
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