GNVニュース 2025年6月25日
2025年6月20日、アルメニアのニコル・パシニャン首相はトルコのイスタンブールを訪れ、同国のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談した。トルコとアルメニアには正式な外交関係がなく、今回の訪問はアルメニア首相として初めての実務的なトルコ訪問となった 。
当会談では、長年対立の続いているアルメニアとアゼルバイジャンの和平交渉の進展状況や、アルメニアとトルコとの国交正常化に向けた取り組み、さらに両国と国境を接するイランとイスラエル間の紛争についても協議されたという。
両国の関係は、第一次世界大戦期のオスマン帝国におけるアルメニア人大量虐殺を巡り、歴史的に緊張関係にあるとされている。歴史家の中には、これをジェノサイドに相当すると主張する者もいる一方で、トルコは、当時多くの人が亡くなった事実は認めつつも、死者数は水増しされており、戦争下における混乱に起因するものだとして、このジェノサイドを否定している。
また、1993年に、アルメニア軍がアゼルバイジャン領ナゴルノ・カラバフおよび周辺地域を占拠した際、トルコは同盟国であるアゼルバイジャンを支持するために、アルメニアとの国境を閉鎖していた。それ以降、両国間の往来や外交対話は長らく停止していた。しかし、2020年の第二次ナゴルノ・カラバフ戦争以降、アルメニアはトルコとの関係修復を積極的に模索するようになっている。実際、パシニャン氏は2023年6月に行われたエルドアン氏の大統領就任式に出席し、首脳会議などの場を通じて両首脳の接触は続いていた。
トルコの外交についてもっと知る→「トルコ:拡大する勢力範囲」
アルメニアとアゼルバイジャンの関係についてもっと知る→「繰り返される軍事衝突:ナゴルノ・カラバフ」

トルコとアルメニアの国境線(写真: Գարվիք / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0])
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