GNVニュース 2025年6月18日
2025年6月11日、ブルンジの選挙管理委員会は、同月5日に行われた議会選挙で与党の民主防衛国民会議・民主防衛勢力(CNDD-FDD)がすべての議席を獲得したと発表した。CNDD-FDD以外の政党は2%以上の票を獲得できなかったため、憲法上の規定に沿って議席を獲得できなかったという。与党・CNDD-FDDが96%以上の票を獲得し、野党は1.3%の票を獲得した民族進歩連合(UPRONA)以外のすべての党が1%未満の得票率であった。
しかし、この選挙結果は野党の政治家や人権擁護団体から批判されている。野党の民族進歩連合や自由のための国民会議(CNL)などは、投票の不正があったと非難を強めている。ヒューマンライツウォッチによると、今回の議会選挙は言論や政治活動の自由が厳しく制限されるなかで行われたという。例えば、改選前の議会で最大野党であったCNLなどに所属する一部候補者はそもそも立候補を禁止された。また、与党の青年団体・インボネラクレが、選挙期間内外にわたって与党へ投票するように人々を監視・脅迫していた。
ブルンジは現在、深刻な経済・社会危機に直面している。国民の約55%にあたる780万人が一日当たり2米ドル未満で暮らしているなか、40%を超えるインフレや燃料費の高騰、慢性的な物資不足、外貨不足が人々の生活をさらに圧迫している。また、ブルンジの隣国コンゴ民主共和国で続く紛争が2025年初頭に再び激化し、7万人もの人々がブルンジに逃げ込んだことなども追い打ちをかけている。ブルンジはこの紛争に対して2023年から軍を派遣している。こうした状況下においてさえ、与党・CNDD-FDDは反対意見を抑圧し、独裁体制を強化しようとしているとして厳しく批判されている。
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ブルンジの周辺諸国についてもっと知る→「ボツワナの民主主義の未来を憂う」「民主主義の危機?:2023年の地方選挙にみるモザンビーク」

希望(緑)、平和(白)、独立への苦闘(赤)を示すブルンジの国旗(写真:Dave Proffer / Wikimedia Commons [CC BY 2.0])
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