GNVニュース 2025年6月15日
2025年6月9日から13日まで、フランスのニースにて2025年国連海洋会議が開催され、国連の定めた持続可能な開発目標(SDGs)14にあたる海洋の保全と持続可能な利用について議論された。
国連海洋会議では新たに18か国が国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)に批准した。これによって公海の生物多様性を守るための海洋保護区の設置や資源の公平な利用に関する法的枠組みが正式に発効される目前となり、世界の海洋の30%を2030年までに保護する「30×30」目標へ一歩近づくことになった。ほかにも、フランス領ポリネシアで世界最大規模の海洋保護区の設置が決定され、6月にサモアが海洋保護を法制化した動きに続く肯定的な流れとなった。とはいえ現状は目標達成からは程遠く研究者は海洋問題への対策を国家政策に組み込むことは急務であると警鐘を鳴らしている。
海洋問題に関連して2025年6月に発表された研究によれば、2020年に世界の海洋の酸性化は安全な水準を超えているという分析が報告されており、海洋生物に深刻な脅威をもたらしていることが判明した。海洋酸性化は、化石燃料の燃焼などによる大気中の過剰な二酸化炭素が海水に溶解し、海の酸性度が高まることで引き起こされる。研究によれば、地球が人類にとって安全で持続可能な状態を保つために超えてはいけない環境の限界を示した「プラネタリーバウンダリー」と呼ばれる基準があるが、2020年までに世界の海の平均酸性値がすでにその限界を超えていたことが判明した。さらに、深さ200メートルまでの海底の60%以上、表層海の40%以上でこの境界を超えており、生態系への深刻な影響が懸念される。具体的には、サンゴ礁などの石灰質の構造を持つ生物の生息地が著しく減少しており、熱帯・亜熱帯のサンゴ礁は43%、極域の翼足動物は最大61%、沿岸の二枚貝は13%の生息地を失っている。
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写真:フランスで開催された2025 国連海洋会議の様子(UN Trade and Development (UNCTAD) / Flickr [CC BY-SA 2.0])
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