GNVニュース 2025年6月8日
パナマでは、2025年3月に社会保障制度改革に反対する教師たちによって反政府抗議活動が始まり、 4月23日からストライキへと展開した。教師に次いで医師、農民、先住民団体、大学生、地域団体、バナナ農園の労働者にいたるまでが参加するまでになり、1か月半以上にも及んでいる。全国規模での抗議活動が展開する中で警察と市民の衝突も散発的に発生している。
この背景には、社会保障制度改革への不満がある。2025年3月18日に可決された法律462号によって、社会保障基金への雇用主拠出が引き上げられたことや、将来的に労働者たちにとって複数の不利な条件が懸念されることに対して反発が発生している。
しかし、社会保障制度改革への不満の他にも要因がある。1つは2023年に環境問題を懸念する大規模デモによって閉鎖された鉱山からの銅輸出再開計画をホセ・ラウル・ムリノ大統領が不透明なプロセスによって決定したことに対して、過去のデモで得た成果を覆すものだとして反発が広がっている。もう1つに、アメリカ政府との安全保障協定におけるパナマ政府の譲歩への批判の声が高まっている。複数の米軍基地の建設のためにパナマ領土を明け渡す計画や、米軍艦にパナマ運河を自由に通過させる計画が背景にある。
現時点でストライキが収まる見通しは立っていない。
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写真:パナマ大統領宮殿(Carlos J. Ramirez / Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0 ])
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