GNVニュース 2025年6月1日
2025年5月のニューヒューマニタリアン紙が発表した調査報道によれば、バングラデシュ南部のコックスバザールにあるロヒンギャ難民キャンプで、子宮内避妊器具(IUD)の装着や避妊薬の投与などによる強制避妊が行われていると、複数の難民女性や支援活動家らが証言している。また、避妊に応じなければ新生児登録ができないと圧力を受けた例も報告されており、難民登録がなければ食料配給やその他の人道支援サービスを受けることができないため、女性たちは事実上の強制避妊に直面している。国連はバングラデシュ政府に対して出生登録に避妊を条件づけることをやめ、自発的な家族計画にするよう要請しているが、政府は関与を否定している。
背景には、ロヒンギャ避難民の人口増加と国際援助の縮小がある。主にイスラム教徒から構成される少数民族であるロヒンギャ人は、1978年からネウィン軍事政権下による迫害を受けバングラデシュへと避難を開始していたが、2017年に発生したミャンマー国軍による武力弾圧以降急増し、70万人ものロヒンギャが隣国バングラデシュへ避難した。2018年に約85万人だった避難民は2025年には約110万人近くにまで増加し、これは出生数の増加と2021年の軍事クーデター以降ミャンマーを巻き込んだ武力紛争による戦闘で避難を強いられた新たな難民の流入によるものである。彼らの多くはミャンマーへの帰還を望んでいるが、権利と国籍を保証されなければミャンマーへの帰還は難しい。
難民キャンプでは、増加する難民の需要だけでなく、国際的な援助削減を受け、深刻な資金不足に直面している。その影響による食糧不足だけでなく、性暴力や人身売買なども蔓延している状況で、難民キャンプにおいて山積する課題への対策が求められている。
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(写真:バングラデシュ:コックス・バザールのロヒンギャ難民キャンプ近くの様子 / Chiori Murata)
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