GNVニュース 2025年5月31日
2025年5月19日から22日、ブラジルの首都ブラジリアで「食料安全保障、飢餓対策、農村開発に関する第2回ブラジル―アフリカ対話」が開催され、ブラジルの官僚とアフリカ42か国、9つの国際機関の代表が集結した。2024年11月にはブラジルがG20議長国として「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」を立ち上げており、今回の対談ではこのイニシアチブに対するアフリカ諸国の関与拡大の模索もなされた。
会議や現地視察を通して、ブラジル農業研究公社(EMBRAPA)が進めている作物・家畜の遺伝的改良技術の他、水資源管理技術、家族農業支援、養殖事業、食料供給体制、地域協同組合の取り組み、資金調達、持続可能性など幅広い分野におけるブラジルの農業・農村開発モデルが紹介された。これらの多くはアフリカの現地条件に適応可能であり、今後の技術移転や協力強化への期待が高まっている。
ブラジルには16〜19世紀にかけてアフリカからの多くの奴隷が連れてこられていた。ブラジル大統領ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ氏はこのような背景に触れながら、「ブラジルはアフリカに歴史的な負債がある」と語り、金銭ではなく技術協力や連帯、農業支援による返済を重視する考えを示した。ブラジルやアフリカといったグローバル・サウス同士での知識や技術の交換の促進はいわゆる「南南協力」と呼ばれている。農村地域の貧困と飢餓の根絶のために投資・技術支援等を行う、国連の国際農業開発基金(IFAD)副総裁ジェラディン・ムケシマナ氏は、この南南協力が農村変革の鍵であると語り、実践的な技術共有の重要性を強調した。
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