赤道ギニア・ガボン:島をめぐる国際司法裁判所の判決

by | 2025年05月23日 | GNVニュース, サハラ以南アフリカ, 政治

GNVニュース 2025523

2025519日、国際司法裁判所(ICJ)は、赤道ギニアとガボンの間で長年続いてきたムバニエ島、ココティエ島、コンガ島をめぐる領土紛争について、赤道ギニアを支持する判決を下した。

この問題の起源は、アフリカの領土の大半がヨーロッパ諸国の植民地となっていた1900年、フランスとスペインの間で締結されたパリ条約にさかのぼる。条約でガボンはフランス領、赤道ギニアはスペイン領となったが、島々の領有権は曖昧であった。その後、ガボンは1960年、赤道ギニアは1968年に独立したが、島々の帰属は依然として不明確であった。独立後は赤道ギニアが島に軍を駐留していたが、1972年、ガボン軍がムバニエ島から赤道ギニア軍を追い出し、それ以来ガボン軍が駐留していた。

1974年には両国間の国境を定めるバタ条約が締結されたが、島々はほぼ無人で最大のムバニエ島でも0.3平方キロメートル未満と小さく、2000年代初頭までは両国の緊張は沈静化していた。しかし、ギニア湾で石油が埋蔵されている可能性が高まると、2003年にガボンはバタ条約による領有権を主張。一方、赤道ギニアはこの主張を否定し、条約原本の提出を求めた。2008年、国連の仲介により平和的解決を目指すことで合意し、2016年にはICJに最終的な裁定を委ねることに同意、2021年に国際裁判所に提起した。

両国は産油国だが、近年は産油量が減少し、両国共に石油戦略の再調整が進む中で判決が下された。ICJはガボンがバタ条約の原本を提出できなかったことから、バタ条約に法的効力がないと判断し、パリ条約に基づき、これらの島々がかつてスペインの支配下にあり、1968年の独立時に赤道ギニアに移管されたと判断した。これを受けてガボン政府の代表は両国の対話の重要性を強調している。

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1 Comment

  1. タクマ

    とてもためになりました。

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