世界で深刻な食糧危機と栄養失調が6年連続で増加

by | 2025年05月21日 | GNVニュース, 世界, 経済・貧困, 農業・天然資源

GNVニュース 2025521

2025516日に国連の専門機関などが構成する食料安全保障情報ネットワーク(FSIN)によって発表された食料危機に関するグローバル報告書(GRFC)は、2024年に調査対象とした53の国と地域で、29,500万人以上の人々が深刻な食糧危機に直面していると発表した。これは2023年と比べると、1,370万人増加している。GRFCによると、紛争や経済変動、気候変動などによって、食糧不足と栄養失調が引き起こされており、これらの数値は6年連続で増加しているという。しかし、食糧不足が深刻化する一方で、それに対する支援は大幅に減少している。例えば世界食糧計画(WFP)に2025年に寄せられる資金提供は、前年度より40%も少なくなる見通しだという。

報告書について詳しく見てみると、食料不安についての世界的な指標である総合的食料安全保障レベル分類(IPC)において、最も深刻な段階である「壊滅的な飢餓」状態にある人々の数は、2023年に比べて2倍以上に増加し、190万人に到達した。この数字は、GRFC2016年に統計を開始して以来最多である。具体的には、パレスチナのガザ地区(1,106,900人)、スーダン(755,300人)などにおいて、人々が「壊滅的な飢餓」状態に置かれている。

また、53の国と地域のうち26の国と地域で栄養危機が確認され、それらの地域では3,770万人の子どもが急性の栄養失調に陥っているという。とりわけ、スーダン、パレスチナのガザ地区、マリ、イエメンでは、子どもの栄養失調が深刻なレベルに達している。これらの国と地域では、主に紛争の存在によってこうした危機的な状況が引き起こされている。例えば、スーダンでは20234月から続く武力紛争の影響で全土的に食糧危機が深刻化しており、特に避難キャンプにおいては飢きんが発生したところもある。

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2014年、スーダンの避難キャンプに食料を届けるWFPのトラックとその護衛車両(写真:UNAMID / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])

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