GNVニュース 2025年5月17日
2025年5月2日、国際連合(UN)内で、深刻な財政難を受けて、大規模な組織再編を含む、大幅な改革・縮小の検討がなされていることが明らかになった。案には、国連機関の業務機能を「平和と安全保障」「政治問題」「開発」「人権」の4部門へ統合することや、物価の高い都市からの職員移転、業務拠点の統合、人員削減等が含まれる。
国連の財政難の一因は国連加盟国の分担金滞納にある。国連は借入はできず、毎年1月に義務的分担金を加盟国から徴収する。そのため滞納が続くと、コスト削減・準備金や余剰現金の切り崩しで対応せざるを得ない。しかしそれも限界に来ており、2024年には41カ国が計7.6億米ドルを支払わなかったことで、2億米ドルの現金不足が発生した。2025年は期限内に払わなかった加盟国が49カ国に上り、この中には国連の年間予算約20%を拠出するアメリカ・中国も含まれる。その結果、2025年末の赤字は11億米ドルに膨らみ、2025年9月までに国連職員や取引先への支払いができなくなる可能性が高い。そのため既に2025年の国連通常予算から6億米ドルが削減された。
国連本部では、通常予算分担金とは別に平和維持活動(PKO)分担金も設けられている。しかし、国連設立以来最も多くの紛争に直面し、しかも平和維持活動の予算は世界の軍事支出のわずか0.5%に過ぎないにも関わらず、未払金は27億米ドルに上っている。
国連本部や平和維持活動の予算以外にその他の国連機関でも、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)の急速な解体や欧州諸国の大幅な資金削減により資金難が進んでいる。国連援助調整事務所(OCHA)の調査によれば、USAID解体のみで、2025年3月時点でアメリカとの支援パートナー機関の71%がサービス削減、44%がアメリカ資金による活動を完全に停止するなどし、7,900万人が従来の支援を失うことが明らかになった。
国連支援における課題についてもっと知る→「ODA:その実態と問題点」
USAIDについてもっと知る→「UAID解体と世界のメディア」
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