GNVニュース 2025年5月4日
2025年4月23日、ネイチャー誌に掲載された新たな研究によれば、世界の上位111の化石燃料企業が、過去約30年間で約28兆米ドル相当の気候変動に関連した損害を引き起こしていることが分かった。調査によれば、シェブロン、エクソンモービル、サウジアラムコなどの企業を含む化石燃料のトップ10企業が、これらの損失の半分を占めている。この研究によって、特定の気候変動への被害を個々の化石燃料企業の温室効果ガス排出量にまで遡って追跡し、責任追及にための科学的根拠を提示することができるとみられる。
これまでに、企業の及ぼす気候被害や虚偽の広告、グリーンウォッシングなどの問題に関して企業や業界団体に責任を追及する訴訟が何百件も起こされている。しかし、企業活動と気候変動の具体的な因果関係を証明することが困難であったために、多くの訴訟やその他の説明責任追及の取り組みは阻止されてきた。しかし、この新たな研究によって、企業の具体的な温室効果ガス排出量に基づいて、気候変動被害を定量的に帰属評価することが可能となった。
これにより、人為的な気候変動に起因する損失や混乱に対する賠償請求をより適切に判断するための科学的根拠が提供されることになる。特に、これらの損害の多くは、温室効果ガス排出の責任が少ないにもかかわらず、異常気象や経済的損失の影響を大きく受けるグローバルサウスの国々に集中している。気候正義の観点からも企業への責任追及が求められており、今後の訴訟や責任追及の取り組みに大きな影響を与える可能性がある。
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(写真:Adam Cohn / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0] )
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