GNVニュース 2025年4月30日
2025年4月17日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、ハイチ独立に伴う賠償とその影響について調査を行うと発表した。調査は、フランスとハイチの歴史学者による合同委員会によって実施される。
1825年、フランスはハイチの独立承認と引き換えに多額の賠償金を請求した。この賠償金は、表向きにはフランス人が不動産や奴隷を失った損失を補填するものだったが、実際にはそれをはるかに上回る額だったという。加えて、賠償金の支払いにより債務不履行に陥ったハイチに対して、フランスは自国の銀行に融資を受けるよう迫った。これは、二重の債務とも呼ばれる。
2022年に行われたニューヨークタイムズ紙の調査によると、ハイチは120年をかけて、賠償金と債務返済で約5億6,000万米ドルをフランスに支払ってきたという。また同紙によると、これらの支払いがなければ、ハイチ経済には長期的に約210億米ドルの恩恵があり、ハイチ国民の2018年の一人当たり所得は6倍になっていたという。
2025年は賠償協定から200周年を迎える年であり、1月にはハイチ暫定大統領評議会の元議長レスリー・ヴォルテール氏がフランスに対し、独立の負債と奴隷制への賠償を要求していた。
ハイチ側による賠償要求はこれが初めてではない。2003年にも、元大統領ジャン・ベルトラン・アリスティド氏が、フランスはハイチに対し約210億米ドルの賠償金を支払うべきだと主張した。発言の翌年、アリスティド氏はクーデターにより追放された。フランスがクーデターを支持した理由の一つは、同氏の賠償要求だと言われる。
マクロン大統領は今回の声明の中で、ハイチによるフランスに対する賠償請求については言及しなかった。
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シタデル・ラフェリエール:独立後、フランスの侵攻を警戒してハイチに建設された要塞(写真: Alan Owens / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0 ])
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