GNVニュース 2025年3月21日
2024年は記録史上最も暖かい年であったと同時に、海面上昇速度と北極の海氷の融解速度が予想以上に速かった。
アメリカ航空宇宙局(NASA)の発表によると、2024年の海面上昇速度は予想されていた0.43cm/年を上回る0.59cm/年であった。衛星での観測が開始された1993年以降、海面は上昇し続けており、合計10.1cm上昇している。更に、海面上昇速度も年々速くなっており、1993年と比較して2倍の速度となっている。近年、海面上昇の原因の3分の2は、陸上で融解した氷床と氷河の海への流入、3分の1は海水の熱膨張であった。しかし、2024年に関してはその割合が逆転し、主たる原因が海水温暖化による海水の熱膨張となった。
また、地球上のどこよりも速く変化する北極の海氷は、現在1990年代の6倍速い10年ごとに12.2%という速度で、予想以上に速く縮小している。この加速には、温暖化による直接的な氷の融解の他に、グリーンランドの氷床の後退が関わっているという。NASAの北極圏探査プロジェクト「ARCSIX」によれば、グリーンランドの露出した陸地から発生する塵が、脆弱な海氷を北極圏で融解させる要因となっていることが既に明らかになっている。放出されたより多くの塵は、強い北風で運ばれ、上空の雲で氷晶を形成する。雲は日光を反射し、氷の融解速度を減速する役割を持つ。しかし、氷晶はこの雲を早く消えやすくする性質を持つため、結果的に海氷が太陽光に晒されやすくなっているのだ。
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海に浮かんでいる海氷と陸上の氷床・氷河(グリーンランド)(写真:Christine Zenino / Wikimedia Commons [CC BY 2.0])
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