GNVニュース 2025年3月9日
オーストラリアに拠点を置く経済平和研究所は2025年3月に報告書を公開し、その中でブルキナファソやマリ、ニジェールを含むサヘル地域10カ国での2024年のテロの犠牲者は3,885人であると発表した。これはこの年の世界全体のテロ犠牲者のおよそ51%に当たるという。同報告書はまた、この地域でテロに限らず紛争によって命を落とした人の数が初めて25,000人を超えたことにも言及している。
このような暴力の急増の背景としては政府の統治能力の低さ、コミュニティ間の対立、自然破壊などが挙げられている。加えてサヘル地域は相次ぐクーデターにより政情が不安定化しており、武装勢力が活動しやすい環境になっているとも指摘されている。そしてここに武装勢力の活動のための資金源になりうる金やウランなどの鉱物資源、あるいは薬物の違法取引などが絡むことで暴力が激化しているという。
また、報告書はロシア・ウクライナ紛争の関連にも言及している。サヘル地域は相次ぐクーデターを経てそれまで関係の深かった西側諸国から離れて中国やロシアと関係を築きつつあるが、ウクライナはこのような親露政権と対立する武装勢力を支援しているという。加えて、この地域の暴力がサヘル地域を超えて広がることも懸念されている。実際にトーゴやベナンなどのサヘルから離れた国々でも、サヘルで活動する武装勢力との関連が疑われる組織的な暴力が増加している。
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自爆攻撃から1年を迎えるモーリタニアの町、ネマでの式典の様子(写真:Magharebia / Flickr [CC BY 2.0])
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