GNVニュース 2025年2月23日
イラン人権団体(IHRNGO)と死刑反対団体(ECPM)が2025年2月に共同発表した報告書によれば、2024年、イランにおける死刑執行数は前年の834件から17%増加して少なくとも975件に達し、過去17年間で最多となった。また、女性の処刑者も31人に上り、同じく過去17年間で最も高い数値となった。
世界では大半の国が死刑制度を廃止しており、死刑制度の導入も減少傾向にある。また、少年犯罪者に対する死刑の適用は、市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)およびイランが加盟している国連の子どもの権利条約で固く禁じられている。しかし同報告書によれば、2024年のイランにおける死刑の52%は麻薬関連犯罪に対して執行されており、最も重大な犯罪とされる殺人罪による執行を上回る。また、少なくとも1人の未成年者が処刑されたという。
さらに、イラン政府が2024年に公式に発表した死刑執行はわずか95件で、死刑執行の約15%が開示された2023年から大幅に減少している。また、全体のうち534件が革命裁判所による死刑判決に基づいているが、この司法制度の透明性には懸念が残る。国連人権高等弁務官は、死刑が「政治的抑圧と弾圧の中心的な手段」として利用されていることを指摘し、エスカレートする死刑執行数に歯止めをかける必要があると強調している。
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写真:世界死刑廃止デー、パリでの会議(2023年)Maryam Rajavi / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0]
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