GNVニュース 2025年2月14日
2025年2月11日、科学における女性と女児の国際デー(IDWGS) が10周年を迎えた。IDWGSは、科学、技術、工学、数学(STEM)分野における男女格差解消に向けて、これまでの成果を振り返り、今後の課題について議論するための 国連のイベントである。
世界でSTEM分野に占める女性の労働力の割合は、2023年においても未だ 26%にすぎない。原因の一つは教育である。世界で1億2,200万人以上 の少女が学校に行っておらず、教育を受けた女性も、性別に基づく固定観念などから科学関係のキャリア選択を躊躇するケースが多い。国際連合教育科学文化機関(UNESCO)は、STEM分野の教育において男女平等指数を算出している。この指数は1を最大とし、1に近づくほど男女平等に近い。平等指数は欧米で低く、北アフリカ、アジア、中東で高いという結果が出ている。男女格差が大きい国の方がSTEM分野の教育における男女格差が少ないという傾向は、STEMパラドックスと呼ばれる。STEMパラドックスは、低所得国では個人の情熱より経済的安定などの観点を優先してキャリア選択がなされるため起こると考えられている 。
さらに、STEM分野の職に就いた後も、男女格差があることが分かっている。UNESCOの報告書によると、世界の研究者の3人に1人は女性だが、女性研究者のキャリアは短く、給与も低い傾向にある。女性研究者は昇進を見送られやすく、一般的に男性の同僚と比較して少ない研究助成金しか出ないなどの格差も存在するという。
STEM分野の男女格差是正は、科学技術の偏りのない発展と、経済成長をもたらすと考えられている。
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女子学生のためのSTEMイベントで科学実験を行う少女(写真:stnorbert / Flickr[CC BY-NC-ND 2.0])
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