GNVニュース 2025年2月7日
2025年2月3〜6日、アメリカ、ニューヨークの国連本部で「国際租税協力枠組み条約」に向けた交渉が開始された。この交渉を正式に着手するために、2024年には複数回、国連総会での議論と投票を行ってきた。その際、アメリカ、イギリス、イスラエル、オーストラリア、カナダ、韓国、日本、ニュージーランドのみが反対票を投じている(※1)。この8カ国は世界人口の8%程度である一方、タックスヘイブンなどを通した国際取引による税収損失の43%はこれらの国の企業や富裕層が占めると推定されている。
これまで、高所得国によって構成されている経済協力開発機構(OECD)が国際租税のルール作りの中心となっていたが、他国の企業による利益移転で膨大な税収損失を被ってきた低所得国が10年以上前からより民主的な国際租税システムを求めてきた。これまでは国際租税システムの現状維持で利益を得ている高所得国がその展開を阻止してきたが、今回はその反対を押し切って実現した。
交渉のための会合は2027年まで年に3回の開催が予定されている。「国際租税ルールの正当性、確実性、弾力性、公正性を高めることを視野に入れ、持続可能な開発のための、包摂的、公正、透明、効率的、公平かつ効果的な国際租税制度を確立する」ことがその主要な目的の一つとなっている。
※1 11月の投票ではアルゼンチンも反対票を投じた。
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国連本部、ニューヨーク(写真:United Nations Photo / Flickr[CC BY-NC-ND 2.0])
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