ルーマニアで選挙取り消し、背景にあった国内発のキャンペーンとは

by | 2025年02月5日 | GNVニュース, ヨーロッパ, 政治

GNVニュース 2025年2月5日

2024年12月6日、ルーマニアで、無所属のカリン・ジョルジェスク氏が決選投票にまで駒を進めた選挙の結果が憲法裁判所により取り消された。ジョルジェスク氏の支持率の上昇に貢献したSNSキャンペーンは、ロシアの干渉によるものとされ、選挙取り消しの理由として大きく報道された。しかし、独立系メディアであるドロップサイトニュースとトゥルースディッグの共同調査によりロシアからではなく、国内発のキャンペーンに関する詳細が解明された。

まず、今回の調査や他の独立系メディアの調査では、ルーマニア政府が公開したロシアの関与を示す機密文書にはそれらの証拠となるものは含まれておらず、ロシアによる干渉を裏付ける内容は含まれていないと指摘されている。

実際のSNSキャンペーンの背景には、長年ルーマニアを統治してきた国民自由党と同党から資金提供を受けた通信会社の関与があったことが明らかとなった。さらに、ロシアの関与を強調しようとしたグループの中にはアメリカから資金提供を受けているルーマニアのNGOも含まれており、そのデータ分析にはウクライナのソフトウェアが使用されていた。

そもそも、外部干渉が疑われた背景には、2大政党以外の候補がここまで得票率を伸ばすことが想定外だったことが挙げられる。しかし、ルーマニアで政治的腐敗が大きな問題となっている中、これまでの2大政党制への不満が高まっており、ジョルジェスク氏に支持が集まることは決して不思議なことではないという指摘もある。この一連の出来事によって、「情報操作」による民主主義の脆弱性が浮き彫りにされたと言えるだろう。

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2024年のルーマニア大統領選における候補者の支持分布:灰色に塗られた地域ではジョルジェスク氏が当選(写真:Cdrei / Wikimedia Commons[CC BY 4.0])

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