GNVニュース 2025年1月8日
2024年12月30日にカリブ海に位置するトリニダード・トバゴで、殺人事件が相次いでいることを受け、非常事態宣言が発令された。トリニダード・トバゴにはヨーロッパ、アメリカ、カナダへの直行便があるため、麻薬積み替えの「絶好の場所」となっており、ギャングによる国際的な取引が盛んに行われている。ギャング同士のグループ争いもあり、2024年だけで銃によって殺された人は623人にのぼり、この数値は過去11年で最多となっている。
トリニダード・トバゴでは、47年にわたり人民国民運動党によって統括がなされ、特に過去10年は政府の腐敗や汚職に悩まされてきた。キース・ローリー首相率いる人民国民運動党と野党の統一国民会議との間の緊迫した選挙に向けて国が準備を進めているときの発表である。しかし、非常事態宣言に関する記者会見に、キース・ローリー首相は欠席した。国家安全保障大臣のフィッツジェラルド・ハインズ氏も非常事態を受け記者から辞任について尋ねられたが、質問を却下した。今回の決断の背景には、現政権のこれまでの治安対策の失敗を隠し、説明責任を回避する狙いがあるという声があがっている。
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トリニダード・トバゴの警察庁舎(写真:BBC World Service / Flickr [CC BY-NC 2.0]
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