GNVニュース 2024年12月29日
2024年12月23日、エルサルバドルの議会が2017年より7年間施行されていた金属採掘の禁止を覆した。ナジブ・ブケレ大統領が率いる新アイデア党が議席の大多数を占めており、その議員すべてが金属採掘禁止令の廃止に賛成投票し、可決された。
エルサルバドルでは、環境と天然資源を保護することを目的に世界で初めての金属採掘を禁止する法律が2017年に可決され、歴史的な節目となった。それに続き、コスタリカやグアテマラ、ホンジュラス、パナマなど、中央アメリカのそのほかの国々も露天掘りの禁止など、全面的ではないものの特定のプロジェクトを停止する金属採掘の後退の動きがあった。しかし、2019年に大統領に就任し2024年で2期目となるブケレ氏は、大量の金が埋蔵されている可能性を挙げるなど、金属採掘によってエルサルバドルの人々に「前例のない」経済的および社会的発展をもたらすことができると主張している。同国は2024年初めには国内総生産(GDP)の約85% の水準に達するほどの大きな債務負担を抱えている状況である。
金属採掘は環境に深刻な影響を与えることが指摘されている。例えば金属採掘では、その過程において大量の水を必要とする一方で、エルサルバドルでは1人当たりの水資源は不足している状況である。さらに、採掘過程で用いられる有毒廃棄物が限られた水源を汚染する危険性もある。そのため、環境保護主義者や鉱業反対派団体による採掘禁止の撤回に対する非難が強まっている。
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