世界:極端な格差の拡大

by | 2024年12月13日 | GNVニュース, 世界, 経済・貧困

GNVニュース 2024年12月13日

世界最大級の資産運用会社の一つであるスイス銀行UBSは、過去10年間で世界のビリオネアの資産総額は6兆3,000億米ドルから14兆米ドルへと121%増加したことを発表した。また同期間にビリオネア(資産10億米ドル以上を所有する個人)は1,757人から2,682人に増加した。特に北米では産業及びハイテク分野のビリオネア主導の資産増加が著しく、2024年には世界中のビリオネアの資産の40%以上を占めた。ビリオネアの資産が特に急速に増加しているのは、生成型AIブームを仕掛けるなどしたテクノロジー業界であり、資産は2015年の7,889億米ドルから2024年には2.4兆米ドルへと3倍に増加する見込みである。多くの産業で市場集中が広がっており、企業統治と独占により、巨大企業及びその主要株主やCEOとなっているビリオネアが権力を更に増大させている。

この一方で2020年以降、世界人口の約60%の約48億人が貧しくなり、25年ぶりにグローバルサウスとグローバルノースの間で格差が拡大した。また巨大企業の利益は株主と企業所有者に集中し、消費者は価格上昇に、労働者は賃金の停滞に直面している。加えて、国際NGOのオックスファムの調査によると、調査対象の164か国の中で少なくとも90%が、法人税率の低下など経済格差を拡大させる可能性のある政策や行動を実施している。巨大企業が市場や日常生活に大きな影響力を持つ、前例のない独占力の時代に来ており、拡大する極端な不平等が新たに常態化することが危険視されている。

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大富豪のヨット(写真:Ryan McGill / Shutterstock.com)

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