GNVニュース 2024年12月10日
2024年11月28日、チャドの外務大臣は旧宗主国であるフランスとの軍事協力に終止符を打つと発表した。これはサヘル地域におけるマリ、ブルキナファソ、ニジェールからのフランス軍の強制撤退に続く流れとなる。チャドはこの地域におけるフランスの最後の拠点であった。
チャドでは、2021年にイドリス・デビ元大統領が反政府勢力との戦闘で死亡したあと、その息子であるマハマト・デビ氏が軍事政権のトップに就任した。しかし、その背景にはフランスの後押しがあったと言われ、政府およびフランスに対する野党や国民の不満は高まっていた。また、チャドだけではなくサヘル地域全体においてフランス軍の駐留があったにもかかわらず、紛争は安定するどころか悪化していたのである。このようにフランスの大きな影響力を受けていたものの、この関係は、チャドにとって必ずしもメリットを感じられるものではなかった。チャドの外務大臣は、チャドの「完全な主権を取り戻すときが来た」と述べ、この関係に終止符を打った。とはいえ、チャドはフランスとの軍事協定を取りやめつつも関係継続を望んでいるようであり、同時にロシア、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)との関係強化を進めると思われる。
一方、同じくサヘル地域に位置するセネガルも、国内に存在するすべてのフランス軍基地を閉鎖すべきであると述べた。セネガルの大統領は、他国の影響を減らすことや、自国の主権を主張して選出されたという背景がある。また、1944年の植民地時代にセネガルで起きたフランス軍による虐殺行為といった過去を引きずっているという側面もある。
フランスが西アフリカ地域にもたらした影響の大きさゆえに、フランス軍の軍事駐留に対して不満が高まっており、この地域における一連のフランスの後退に拍車をかけたとの指摘もある。
サヘル地域の国際関係についてもっと知る→「変容する西アフリカの国際関係」
チャドのこれまでの歴史背景についてもっと知る→「チャド:安定と発展に向かうのか」

チャド、ンジャメナ空港に到着したフランス空軍(写真:Frogfoot / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0])
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