世界の軍需企業で収益拡大

by | 2024年12月6日 | GNVニュース, 世界, 紛争・軍事, 経済・貧困

GNVニュース 2024126

2024年122日、紛争や軍縮などの研究機関であるストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が、2023年の世界の武器生産に関するデータを発表した。2023年、世界の軍需企業の最大手100社の収益は6,000億米ドルを超え、前年と比較して4.2%増加したという。

収益拡大はすべての地域でみられたが、特に急増したのはロシアと中東を拠点とする企業だ。ロシアでは、国営持株会社ロステックなどが大きく収益を伸ばした。ウクライナ侵攻により戦闘機などの生産が増加したことが理由とされる。また中東では、トルコの3企業でウクライナ侵攻のための輸出増加などに伴い大幅な売上増加がみられた。その他、イスラエルの3企業が、ガザの紛争による需要増加に伴い売上を伸ばした。

アジアでは、韓国に拠点を置くハンファグループ などの4社、日本に拠点を置く日本電気株式会社(NEC)などの5社で大幅に売上が増加した。韓国企業は世界でのシェア拡大、日本企業は国内の軍拡政策による需要増加が理由とみられる。

100社のうち41社はアメリカに拠点を置く企業であり、全収益の半分を占めている。一方、世界最大の武器製造企業であるロッキード・マーティンなどでは、前年比で収益が減少した。サプライチェーンが原因であるとされている。

ヨーロッパに拠点を置く企業では、あまり成長が見られなかった。それらの企業では、製造に時間のかかる複雑な兵器生産を行っており、需要の変化への対応が遅いことが理由と考えられる 

軍需産業の収益拡大の背景には、政府や軍との強い繋がりがある。武器メーカーや軍は、軍事予算を設定する政府に対して働きかけを行う。この密接な関係は、軍産複合体と呼ばれている。

軍産複合体についてもっと知る軍産複合体:報道からは見えてこない巨大な力」 

BAEシステムズが製造するイギリスの主力戦車「チャレンジャー2」(写真: Defence Imagery / Flickr[CC BY-NC 2.0])

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