ノルウェー議会:1世紀以上に及ぶ少数民族への同化政策を謝罪

by | 2024年11月17日 | GNVニュース, ヨーロッパ, 共生・移動, 政治

GNVニュース 2024年11月17日

ノルウェー国営放送(NRK)によると2024年11月12日、ノルウェー議会は同国の少数民族や先住民であるサーミ人、クヴェン人、フォレスト・フィン人に対して1世紀以上にわたって行われた宗教、言語、生活様式に関する様々な形態の強制的な同化政策について謝罪した。クヴェン人、フォレスト・フィン人が政府から謝罪を受けるのは初めて(※)のことである。この謝罪は2018年に設立された真実和解委員会による報告書発表から1年が経過して行われ、和解のための専用センターの設立や先住民族および少数民族の言語の扱いの見直し、姓をノルウェー化された人々が元の名前に戻るための法改定草案作成などが含まれている。また2027年以降、政府は議会の任期ごとに、先住民族や少数民族のための活動を概説した報告書を提出することが義務付けられた

ノルウェー当局による少数民族の言語を禁止する国営寄宿学校や村全体の強制移住などの同化政策は1700年代に始まり、1851年に正式な国家政策となってから政策の多くが1980年代まで続いた。この130年以上に及ぶ問題に対する今回の謝罪は、右派進歩党の反対票を押し切って、議会の過半数支持によって可決された。しかしサーミの代表者は、土地や水の利用をめぐるサーミの権利について合意・和解がなされなかったことは残念だと述べた。サーミの人々の生活圏に設置された80基もの風力タービンや鉱業・森林開発などは先住民族を脅かす課題であり、調停における緊張関係が続いている。

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先住民族サーミについてもっと知る→「北極圏の先住民族サーミ:脅かされるその生活

 

※ サーミ人に対しては、オラフ5世国王、ハラルド5世国王、そしてシェル・マグネ・ボンデヴィク元首相が以前に謝罪していた。

ノルウェー議会の様子(写真:Stortinget / Flickr [CC BY-ND 2.0])

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